革命国家が勝利に向かって前進する玉川上水のブログ

駿河南海軍工廠の後継。近現代史小説を中心に掲載。

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 街道はあくまでも細い。
 供揃えは騒然となった。
 行列は足を止め、その前方では先払いの藩士が血相を変えて、口々に叫んでいる。
「無礼者」
「控えろっ」
 しかし隊列を遮る四人の異国人に、その言葉が通じるはずもない。
「馬を降りろ!」
 一人が怒鳴る。
 その一声が仇となった。
 緊張に耐えかねた一頭の馬が、動揺のあまり、ついに列に向かって歩みだしたのだ。
「止まれ」
 しかしその時には、既に手遅れであった。
 長槍に固められた駕籠の中から、彼らのあるじが、最後の命を下す。
「斬れ、斬れ」


 その日私は、硫黄島上空の戦場にあった。
 昼近く、航空母艦「レキシントン」を飛び立った我々は、目標を視認するころ、邀撃のゼロと遭遇し、中隊の半分が爆装を捨てこれに対処した。私のヘルキャットもそのうちの一機だった。
 私は小隊長、つまりチャーリー1の指示に従い、身軽になったヘルキャットを上昇させた。ゼロは、味方編隊よりもやや高い、13000フィート位の高度から突っ込んできた。我々は劣位だったが、頭上からいきなり弾を浴びることを避けられたのは幸いだった。やつらはいつも不意打ちでかかってくる。卑怯だというやつもいるが、やつらと五回ほども戦えば、そんなことは慣れてしまう。
 我々は機首を持ち上げて、ゼロを待ち受けた。数は、せいぜい五機か、多くても八機位だったと思う。半分になった我々より、更に少なかったのは確実だ。
 私はセイフティを外し、交戦に備えた。その日の私のヘルキャットには、撃墜マークが四つ書き込んであった。つまりあと一機で、私もエースの仲間入りだ。私は気が急いだ。敵の数が少なかったからだ。
 誰が最初に始めたか分からないが、とにかく誰かが撃ち始めた。敵もそれに反応して撃って来たので、私も撃ち返し、それで空戦が始まった。両者は撃ちながらすれ違ったが、撃墜された者は一機もなかったように思う。その後は両軍が入り乱れ、乱戦になった。
 一般に誤解されているようだが、ヘルキャットは抜群に運動性のいい機体だ。その点ではゼロも同じだが、左旋回のゼロを素直に追わないかぎりは、こちらのほうに分がある。あちらこちらでドッグファイトが起こり、我々もゼロも、生き残るために夢中で戦った。
 戦っているあいだは、目の前の敵以外のことに気を回す余裕はないもんだ。味方が勝っているのか負けているのか、誰がやられたか……。そういうことは終わったあと集合してみて、初めてわかることだ。だから私もその時のことは、実はあまりよく覚えていない。
 しかしある時、私ははっと我に返って、あたりを見回した。
 そうすると、遠くに幾条もの黒煙が、曲がりくねって走っていて……それで、いつの間にか空戦エリアから離れてしまったことに気付いた。 私は戻ろうと思い、機首を巡らした。
 その時だ。
 私は十時の方向、やや低空に、一機のゼロを見出した。グリーンの翼に白淵を付けた日の丸が、かすかに見えたんだ。
 そいつは私に背を向けて、青緑色の海の上をゆっくりと、ほぼ水平に飛んでいた。
 機首にはプロペラの跳ね返す光が輪になって、くるくる回っている。
 私はちょうどいいと思い、翼を傾けて、速度を上げた。やつはこっちに気付いているのかいないのか、相変わらずゆるゆると旋回している。私は徐々に距離を詰めて行った。
 そうして追尾していくと、一瞬そのゼロが、きらり、と白く光った。その時は気に留めなかったが、暫くして、変だなと感じた。距離の縮まるのが速すぎる。ゼロの黒い影はどんどん大きくなる。私は速度計をちらと確かめて、それから顔を上げた。
 私は仰天した。
 頭の上を、20ミリ機関砲の太い曳光弾が飛び越えていく。
 銀色に光るゼロのブレードが、私の鼻先にあったんだ。




コメント

No title
・・・これ、どういうことなんでしょうか?
2009/03/05 01:26URL  名無し #4CNQZ96U[ 編集]

No title
ちょっと説明不足かもしれないですね、この話は。
(私の話全部がそうかもですけど)
2009/03/05 14:25URL  廠長 #Iu2BPJvY[ 編集]


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