革命国家が勝利に向かって前進する玉川上水のブログ

駿河南海軍工廠の後継。近現代史小説を中心に掲載。

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Category :  小説
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 開戦とともに、旧長野県松代の地下防空壕に移設された統合幕僚監部は、すでにその構成員の大半をうしない、また生き残った者も、ほとんどが狭苦しい核シェルターの中にあって、国防の本義をわすれ、享楽的・自堕落的生活に身を委ねていたが、それでも自衛軍の一部青年将校たちのあいだでは、なおも祖国の復権のため、連日のように討議が重ねられていた。

「諸君、今こそ我が祖国日本の実情をみよ。秀麗なる我が国。そのかくも荒廃したる所以は何ぞ」
 陸自の制服を着た三佐が、一座の面々に向かって言った。座についている将校は陸海空一人ずつで、それに民間人一人が加わっている。そのうち海自の一尉が、それへ応えて僅かに身を乗り出し、
「そもそも我が国体の根幹は、万世一系の天皇これを統治するにあって、それを打ち捨てたる二〇〇年前の我が先達こそがその原因である」
 と言うと、一同はそれぞれ真剣な表情で頷いた。彼の向かいに座っていた強面の空自三佐も、腕を組んだまま首肯して、
「然様、まことにもって尤もな話」
 と低く相槌を打つ。
「それなら、こうしましょう」
 それを聞いていた蓬髪頭の若い技師が、将校たちを見回しつつ彼らに言った。
「歴史を変えればいいんです」
 陸自の三佐はその厚いまぶたを押し上げ、唇を薄く開いて彼の顔を見つめたまま、
「左様なことが、可能なのか」
 と短く訊ねた。「できます」。技師は答える。
「現代の技術を二〇世紀へと伝送し、我々の先祖の国を、大いに盛り立てるのです」
「それは名案だ」
 広々とした会議室に一時のどよめきが起こった。場合によっては、この忌々しい地下壕の生活から、再び地上へと戻れる日が来るかもしれない。その期待が彼らの気分を高揚させた。

 早速、海自の一尉が提案をした。
「本邦は島国なれば、強力な海軍力が是非とも必要である」
 こうして、世界最強の大和型戦艦が生み出された。次に、空自の三佐が発言した。
「航空戦が成敗を分ける立体戦争であるから、大馬力の航空機用発動機こそが、先達には必要だったのではないか」
 こうして、小型高性能の誉エンジンが生み出された。最後に陸自の三佐が、有無を言わさぬ語調で主張した。
「いや、いつの世も食糧の生産力を抜きにして、軍事力を語ることは出来ないはずである。まず食糧問題を解決し、国力をつけるべきだ」
 こうして、満州事変が勃発した。しかし、彼らの生活は変わらなかった。





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