革命国家が勝利に向かって前進する玉川上水のブログ

駿河南海軍工廠の後継。近現代史小説を中心に掲載。

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 ついにこの時が来た。異星人による地球侵略が開始されたのだ。
「無知なる人間どもめ、我々が誇る科学力の前にひれ伏すが良い」
 地球にやって来た彼らは、まず地球首都を探した。そして人がたくさん住んでいる街が都だと思い、特使がモスクワへ降り立った。
 赤い星のマークがたくさん見られる街で、街のすぐ外では戦争が起こっていた。彼は通りすがった官憲を呼び止め、

「おい、小役人。おれは、アルファ・ケンタウリから来た特命全権大使だ。今後きみたちの全ての権利は、我々アルファ・ケンタウリ人が支配するのだぞ。素晴らしいことだろう。もしきみにカマキリほどの知性があって、なおかつ私の言葉が分かるとしたら、馬鹿で、恥知らずで、品性下劣なきみたちの指導者を、そうだな、褌一枚の姿で、おれの前へ連れて来てもらおう。そうしなかったら、きみたちの上にどんな恐ろしいことが起こるか、おれは想像だってつきやしない。ま、臆病で、因循姑息で、すこしパラノイア気味のきみたちの指導者に、それを試す勇気はないだろうがね。わはははは」
 特使は銃殺された。


 




「特使を殺すとは、なんてことを」
 宇宙母艦上のアルファ・ケンタウリ人たちは、大いに憤った。
 また、彼らは地上の戦争の様子を見て、どうやら先ほど特使を送った街は、都ではないらしい、例え都だとしても、滅亡寸前らしいと看做して、交渉に値する相手ではないと判断した。

「街を攻撃している軍勢は、西から来るのだから、西に新しい都があるのだろう」
 そう思って西方を探した彼らは、やがて旗がたくさん翻っている都市を見つけた。
 そこでは、どうやら強力な指導者が居て、あらゆる権力を一手に集め、人民の絶大な信頼を受けているらしかった。彼らはこの都市がほんとうの地球首都だと思い、ベルリンに特使を送った。

「何者だね、きみは」
 彼を出迎えたのは、指導者の親衛隊長を名乗る、ヒムラーと称する男だった。
「あなた方には信じがたい話かもしれませんが、」
 特使の彼は、その前任者の末路を思いながら、ヒムラーに向かって慎重に切り出した。
「ぼくは、この星の者ではないのです。遠いアルファ・ケンタウリからやって来た、つまり、あなた方の立場で言えば、異星人です」
「なんと。それは素晴らしい」
 それを聞いたヒムラーは、俄かに声を高めてそう言うと、彼の腕を取り、
「ほんとうに宇宙人か?」
 と彼に重ねて訊いた。彼は「ほんとうです」と答える。
「父も母も、アルファ・ケンタウリ人で、ぼくは、そのひとり息子です」
「凄い、凄いぞ」
 ヒムラーは何度も頷きながら、彼の肩を叩いた。彼はほっとした。どうやらこの西の都の人々は、東の都の人間とは違い、自分たちに何か並々ならぬ関心があるらしい。
「ハイドリヒ。ハイドリヒよ、すこし私の元へ来てくれ」
 ヒムラーは自分の部下を呼び、それからその部下に命じた。「この人を、」
「特別室へお連れしろ」
 特使は生体解剖されてしまった。


「地球は、なんと野蛮なのだ」
 異星人たちはそのさまを見て、あまりのむごさに呆れ、青ざめた。
「もうこんな奴らは滅ぼせ!」
 錯乱した一団は主戦論を叫びだした。
 地球人根絶論が加熱する中、異星人たちは、ベルリンより更に西方の海の向こうに、遥かに巨大で、豊かなメトロポリスを見つけた。そこでは毎日膨大なエネルギーが消費され、その繁栄ぶりは、先に接触を持った二つの都市とは比較にもならないほどだった。
 彼らは、今度こそ間違いなく地球首都を見つけたと思い、ニューヨークに特使を送った。

「地球は、なかなか高度な都市文明を持っているのだな」
 あくまでも高く林立する五番街の摩天楼群を見上げ、感嘆の声を漏らしながら、特使は歩いていった。
 大勢の人間たちが絶えず行き交うこの大都会だが、往来の人々は終始無言で、お互いの関係はないに等しいようである。彼はとりあえず政府要人に会わねばと思い、通りすがる人々に向かって、
「こんにちは、こんにちは」
 盛んに声をかけたが、誰も彼のことを気に留める者は居なかった。彼は困惑した。どこへ行けば、このようなメトロポリスを作った地球首脳たちに会えるのだろう。
 それを教えてくれそうな人を求めて、彼は通りを見回した。そして、道に立っている警官を見つけた彼は、そこへ向かって駆け出した。
「お巡りさん」
「バカ、止まれッ」
 振り返った警官の、制止の声が聞こえた。次の瞬間、巨大なトラックが彼にぶつかって、彼を何十メートルも向こうの、ブティックのショウ・ウィンドウの中に叩き込んだ。


「おのれ!」
 異星人たちは、いよいよ激昂した。「もはや許せぬ」。
「この地球人どもの暴虐を捨て置けるか」
「そうだ」
 みな、口々に喚いた。
「地球の連中は皆殺しだ。連中に地獄を見せてやれ」
「我々の恐るべき武力を奴らに示すのだ」
 そしてアルファ・ケンタウリの究極兵器、陽電子圧縮プラズマ反射衛星重力レールガンが使用準備を整えた。折りしも、彼らの宇宙母艦の下の海上を、一隻の小船が通過しようとしていた。
「地球人どもの船だ」
「手始めに、奴を血祭りにしてやれ」
 宇宙母艦は直ちにその頭上に貼り付き、攻撃位置に付いた。
「消え失せろ!」
 そのとき、彼ら異星人たちの宇宙母艦は、いきなり爆発し、あっという間に墜落した。
.
「命中しました」
「ばかめ。この『秋月』様の上を跨ごうとは」
 ソロモン海を航行していた日本海軍の防空駆逐艦「秋月」は、初戦での初戦果に湧き返っていた。
「長一〇センチ砲の威力を見たか」
「見慣れない機種でした。大型機のようですが」
 墜落した海面を双眼鏡で見ながら、航海長が言った。墜落機は瞬時に海没してしまい、気泡だけが浮き上がって弾けている。
「おい、司令部へ報告しとけよ。敵B-17一機撃墜」
「はいッ」
 艦長が通信兵にそう命じるのを見て、航海長は
「残骸を回収しなくていいですか?」
 と艦長に訊ねた。すると艦長は「いい、いい」と面倒くさそうに掌を振って、
「どうせ友軍でなけりゃ、全部敵なんだから」
 と答えた。それもそうだなと思った彼は、双眼鏡から手を離す。




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*ようこそ、トラブルシューター。*

Computer:
 このコメントフォームに「/」を重ねて書くことは反逆です。
 URL欄にアドレスを入れる者は、恐らく反逆者以外にはいません。

 市民の幸福は、コメントを書き、Computer に奉仕することです。
 あなたはComputer の仕事に感謝して、喜んでコメントを書きますね?
 そうしないことは反逆です! 直ちに処刑の対象になります!!
 
















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