革命国家が勝利に向かって前進する玉川上水のブログ

駿河南海軍工廠の後継。近現代史小説を中心に掲載。

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Category :  コラム
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 野暮天が真珠湾に攻撃をかけ、戦争が始まりました。軍艦の皆さんには戦地へ出撃して頂きます。

 一方、奇襲をかけた日本海軍の側にも、困難な道が待ち受けていました。日本の優勢は長くは続かず、開戦からわずか半年で形勢は逆転してしまったからです。

 品不足と消耗が各国で相次ぎ、世界中の海軍に、「こうなれば今を楽しもう」という享楽的な気分が蔓延しました。戦前にはただ灰色で塗られていただけだった軍艦が、オシャレをして外出するようになり、「迷彩」と称して様々なファッションが作られ、流行を形成したのです。

 今日のヒストリーチャンネル(嘘)は、『軍艦の迷彩』!

 
(オープニングデモ)




 船に塗装をほどこすことは、太古の昔から行われてきたと、大学教授のランバート博士は語る。

「大変重要な儀式でした。大自然へ乗り出す船は、神聖な存在と考えられていたからです」

 大昔の船は造船技術が未熟で、しばしば沈没した。科学が発達してからは、船にとって自然はさほどの危険ではなくなったが、第二次世界大戦では別の危険が待ち受けていた。

「言うまでもなく、戦争です。敵機の落とす爆弾、潜水艦の魚雷、それに大砲など……あらゆる脅威で海はいっぱいだったのです」

 いかに科学が発達しようとも、戦争の危険からは逃れることが出来なかったのだ。
 第二次世界大戦時においても、船は国家の生命線だったが、それを狙う兵器に改良が加えられた結果、船は非常に弱い立場になっていた。敵の攻撃を受け、消息を絶つ船が相次いだ。
 それは船のサイズが原因であったと、歴史家のグリンウッド教授は言う。

「爆撃機や、潜水艦からは、格好の餌食でした。船は大きく、動きも遅いので、そんなものが平和なときのように大海原を航行するのは、マフィアの縄張りにフルチンで出かけるようなものだったのです」

 そこで、大柄なのは馬鹿っぽくて、ダサい、という風潮になった。船たちは自分が小柄に見えるよう、最新の流行を取り入れ、迷彩を行うようになったのだ。


(ウェザリングが不十分で攻撃された例)

「実際よりも、小さく見えるように工夫しました。そうすれば、潜水艦は距離をまちがえたり、うまくすれば、攻撃をやめるかもしれないと思ったのです」

 まさに、小さいということは便利だった。このことに気付いたドイツ海軍は、戦艦「ビスマルク」の排水量を三万五〇〇〇トンといつわって完成させ、のちに四万二〇〇〇トンだったことが判明したため、各国のファン(ロリコンども)が激怒した。

 
「『ビスマルク』め、イタズラばかりしおって!」
 
「何としても『ビスマルク』を沈めろ! あの艦がこの世に存在して良い理由はない」



 小さく見せることは有効な方法だったが、それだけでは不十分で、相変わらず船の損害は増えていった。特に標的にされやすかったのは航空母艦であったと、日本海軍の水兵だったアオキさん(81)は語る。

「わたしは、ですねぇ。あのう、昭和十七年、六月。ミッドウェー海戦にですね、えーっ、参加をいたしまして……」
(本人音声から声優声に切り替わる)
「一九四二年六月。私はかのミッドウェー海戦に参加していた。そこで旗艦の航空母艦『赤城』を始め、全空母が炎上するのを目撃した。敵機の攻撃は素早く、的確で、我々の対空砲火は全くなすすべが無かった。私はそのとき思った。空母とは、かくも脆いものか」

 実際、空母の脆弱性は問題だった。真珠湾以後、空母の存在が重要になると、その問題をどう克服するかが焦点になった。米国海軍のビッグEさんは、他の艦種に誤認させる方法が採られていた、と説明する。

「おもに商船に偽装したわ。珊瑚海で先例があるし……。奴らは近眼だから、ちょっと誤魔化しとけば分かりゃしない、って」

 その割には生傷が絶えなかったビッグEさんであった。彼女は今でも空母の仕事を続けている。


(わかめスタイルの迷彩)



 一九三三年。ドイツで発足したヒトラー政権は、ドイツ国内の前衛芸術家について、次のように主張した。

 
「拷問してなぶり殺せ!」

 こうして、ドイツでは多くの前衛芸術家が職を失い、敵国へ亡命する者が相次いだ。しかし意外にも、それで前衛芸術の芽が絶たれたわけではなかったと、ランバート博士は言う。

「戦争が長期化するとドイツ海軍は……信じられないことですが、なんと自分たちの船を、前衛に塗装し始めたのです」

 ドイツ海軍は伝統的に、上層部に対し反逆的であった。第一次世界大戦ではキール軍港の水兵が反乱を起こし、敗戦のきっかけを作った。第二次世界大戦でも、海軍は予算を削減され、満足な艦隊作戦を行えず、ヒトラーに不満を抱いていた。

「ヒトラーは政治家になる以前には、保守的な写実主義を好む画学生で、革新的な前衛美術を激しく嫌悪していました。ドイツ海軍の艦艇があのように、奇妙で、狂ったセンスの迷彩に走ったのは、そうしたヒトラーに対するあてつけ、嫌がらせだったのです」


(狂ったセンスの迷彩の例)

 ドイツ海軍の戦艦は、一日中フィヨルドに居てすこしも出航せず、水兵は暇を持て余していたのである。ある日、そんなドイツ戦艦の姿を報道写真で見て、烈火のごとく怒ったヒトラーは、全水上艦艇の廃棄を命じ、迷彩を施した水兵をロシア戦線へ送ったとさ。


(抗議文)
「ドイツ海軍総司令部(OKM)は、このような虚偽と歪曲に対し、厳重に抗議する。
 我々ドイツ海軍は建軍以来、国家への忠誠心篤く、将兵はみな勇敢である。
 まして反逆など思いもよらない。海軍には反逆者など一人としていない」
(署名・海軍提督ヴィルヘルム・カナリス)



 次は、敵の目をあざむくために、船体に迷彩をするばかりか、その容姿まで変えていた艦である。

「ある意味、究極のカモフラージュでした。ドイツの『プリンツ・オイゲン』や、日本の『大淀』がそれです」

 二隻とも一万トン前後の巡洋艦だが、「プリンツ・オイゲン」は戦艦「ビスマルク」に、「大淀」は戦艦「大和」に似せていた。二万メートル離れて見ると、両者はまさに瓜二つだった。

 
(ドイツ巡洋艦「プリンツ・オイゲン」)

「デンマーク海峡海戦で、イギリス戦艦『フッド』は、この罠に落ちたのです。彼女は『プリンツ・オイゲン』を『ビスマルク』だとかんちがいして、全力で射撃していました。そのうちに、本物の方の『ビスマルク』から、キツい一発を受けてしまったのです。結果は轟沈です」

 日本の巡洋艦「大淀」は、一九四三年に造られた。二基の三連装砲塔や筒型艦橋、傾斜した煙突など、あきらかに「大和」を意識したデザインだった。名前まで「淀」と「和」の違いしかなかった。

 
(日本巡洋艦「大淀」)

「あまりにも似ていたので、当の日本海軍も、間違えていました。日本の豊田提督は、最大最強の『大和』を旗艦にしたと思っていましたが、実際には『大淀』でした。うっかりしていたのです」

 豊田提督は、四ヶ月以上もそのことに気が付かなかった。「敵を欺くにはまず味方から」ということわざ通り、「大淀」の高度な偽装能力が証明された。

「ここまで来ると、もはや迷彩など必要ではありません。強力な艦に運悪く遭遇したと思わせることが重要なのです」

 しかし、それ以上のカモフラージュ技術を有していた国がある。恐るべき兵器が実戦に投入されようとしていた。



 第二次世界大戦中、アメリカは、他国に類を見ない軍艦を大量に建造した。

 
(どこかにいる)

「それは、見えない空母です。当時最新の技術によって造られ、完全に見えません。おもに太平洋戦線へ派遣されました」

 それは戦争の様相を変貌させるものであり、世界のミリタリーバランスが危機に晒された。当時、その危機に立ち向かうことが出来たのは、ただ一国である。

「神霊術の発達していた日本では、見えない空母を唯一感知することが出来ました。彼らは神風を起こし、アメリカの見えない空母群を一挙に葬り去る作戦を立てたのです」

 ただちに、護国豊穣の神に祈りが捧げられ、怨敵調伏の祈祷が行われた。神通力を高めるため、航空機ごと敵艦にぶつかる・竹やりを作る・インパール作戦などの行為がされ、祈りが天に届くようにとの思いを込めて、風船を作り飛ばした。

「作戦は成功でした。何十隻という見えない空母が全滅し、まさに元寇の再来でした」


 
(全国民が喜びに沸いた)


 日本は大々的にこの戦果を発表し、そして和平が結ばれた。日本とアメリカは同盟国となり、終戦の日以降、見えない空母は造られていない。

「例外はあります。フォークランド紛争ではアルゼンチン空軍が、イギリスの見えない空母を攻撃し、沈めました。アルゼンチンはその写真を新聞に載せましたが、見えるように写真を加工したので、『見えない空母が見えるのはおかしい』という投書が殺到し、捏造だ、と言われました」

 だがこのように、戦争が起こるとき、見えない軍艦はかならず造られ、配備されている。船が世界から姿を消さない限り、迷彩も、そして見えない船も、なくなることはないのだ。


(エンディング・スタッフロール)


コメント

No title
> イギリスの見えない空母

「インヴィジブル」ですね.
2008/12/17 17:06URL  「い」 #6y6JeEAQ[ 編集]

管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2008/12/18 03:33  #[ 編集]

No title
あれ、微妙に編集されてるw
2008/12/18 18:16URL  ゴロンと #-[ 編集]

No title
>インヴィジブル

これはうまいなぁ。

>微妙に編集されてる

もうどこのことか全然分からないw
2008/12/18 22:40URL  廠長 #Iu2BPJvY[ 編集]


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*ようこそ、トラブルシューター。*

Computer:
 このコメントフォームに「/」を重ねて書くことは反逆です。
 URL欄にアドレスを入れる者は、恐らく反逆者以外にはいません。

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 あなたはComputer の仕事に感謝して、喜んでコメントを書きますね?
 そうしないことは反逆です! 直ちに処刑の対象になります!!
 
















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