革命国家が勝利に向かって前進する玉川上水のブログ

駿河南海軍工廠の後継。近現代史小説を中心に掲載。

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Category :  読み切り小説
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 真夜中のプラットホーム。女がそこへ駆けつけたとき、既に汽缶の音も高まり、列車は動き出しつつあった。ハンドバッグを放り出し、女は走る。破線状に連なる列車の窓が煌々と明るい。車輪が回り、プラットホームへ差す窓明かりが進みだしても、女は走ることをやめない。

 車内で座席にあったトレンチコートの男は、彼女のその姿に気が付き、読みかけの新聞を床に放ると、窓ガラスを上げ、身体を乗り出した。速度を増す列車に必死で追いすがろうとする彼女。オリーブドラブ色のコートの襟を風にはためかせて、腕を伸ばす男。彼女もまた手を伸ばした。二人の手と手が触れ合う、その直前、プラットホームは途切れ、男を乗せた列車は闇の中へ溶けていく。

 女はその場所に膝を突く。荒い呼吸。彼女はもう一度顔を上げ、列車の去っていった夜の闇を見る。そして女は泣く。彼女を見つめていたカメラが引いていく。エンディングミュージック。スタッフロールが流れる。人々は座席シート備え付けのヘッドホンを外し、荷造りを始めた。添乗員のアナウンス。


「乗客のみなさまにお知らせいたします。本日は西側航空を御利用頂き、まことにありがとうございます。間もなく当機は着陸致します。シートベルトをお締めになって……」


 And, here――
 (一方、そのころ)



 猛烈な銃声、砲弾の炸裂音、発射音の中を、数名の突撃兵たちが突き進んでゆく。敵の機銃掃射が地を駆け抜け、泥土が宙に跳ね上がっても、彼らが怯むことはない。爆音とともに吹き上がった土砂が、戦野いっぱいに広がって突進する友軍兵士たちの頭上に降り注いだ。

「革命的大衆精神と、偉大なる同志スターリン万歳!!」
 先陣を切る士官が握り締めた拳銃を掲げて叫ぶと、兵士たちもそれに応え、やがてはすべての突撃兵が口々に叫びだした。
「ソ連邦万歳! 同志スターリン万歳! 社会主義万歳!」
「万歳、万歳、万々歳!!」

 そして卑劣なるファシスト野郎どもはMG34機関銃を乱射する。数名の革命戦士が泥濘に斃れ伏した。復讐を誓った赤軍兵士の眼に炎が灯る。報復の時はきた。ソビエト人民の怒りが侵略者の上に炸裂するのは今だ。ソビエト兵士たちは手榴弾を投げ、奴らは吹き飛んだ。「万歳、万歳!」。兵士たちの歓呼が波打つ。


『祖国よ永遠に!』。首に掛けたヘッドホンが何やら叫んでいる。頭を垂れて寝ていた乗客の男が肩を叩かれて眼を覚ますと、通路には軍人が立っていた。突きつけられるAK-47突撃銃。男は両手を挙げた。スピーカーからアナウンス。


『東側航空を御利用の皆様、機長のゴルバチョフです。当機はハイジャックされました。私は当機を爆破します。皆さんさようなら。ご冥福を祈ります』


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